本えいが遅報

本と映画の感想ブログ

第002感 賀東招二 著 『コップクラフト1』・・・ハードボイルド!

早速2冊目の感想です。

 

本書は『フルメタル・パニック!』シリーズで有名な賀東招二氏の作品です。

ライトノベルというと、いわゆる美少女が何人も登場し、自称平凡な男子校生のまわりでキャッキャウフフな展開が起こるものだと思っていませんか? このシリーズはそんな常識を打ち破ってくれること間違いなしだと思います。

出てくる美少女はティラナ・エクセディリカただ一人、でもそれがいい。

 

ほかの登場人物はみな、アメリカの刑事ドラマにいるような個性的でリアリティーのあるキャラクターばかり。しかも、絵師さんは村田蓮爾氏。美麗で観やすいイラストで、パラパラめくるだけでも楽しめます。

 

太平洋上に突如出現したゲートの向こうは魔法が使える「セマーニ人」の住む異世界、なんていう単純ゆえの王道設定が面白さを引き立てています。異世界に旅立つわけではなく、ゲートとともに出現した陸地で繰り広げられるポリスアクションです。

 

セマーニ人と人間が入りまじる、このサンテレサ市にはセマーニ世界の魔術道具と人間世界の兵器や麻薬とが裏取引されている・・・。この街で活躍するのが主人公であるケイ・マトバとその相棒ティラナ。

 

セマーニ世界のお嬢様でありながら剣術や魔術に長けているティラナは負けず嫌い。マトバはそんなティラナを「ガキ」と思って頼りにしない。そこから相棒としての関係が築かれていく様は著者あとがきにもあるように、アメリカの連続ドラマを観ているかのような感覚に陥るでしょう。

 

単なるバトルモノではなく、セマーニ人と地球人との人種差別問題も語られています。幾度かの戦争を経て落ち着きをみせている両者ですが、いまだに争いは絶えずにセマーニ人を「宇宙人(エイリアン)」とよぶ蔑称が存在するほど。

 

しかし、どちらもお互いのことがまだよくわかっていないだけなのではないでしょうか。もしかしたらコミュニケーションを深めていけば解決するものなのかもしれません。『コップクラフト』シリーズで著者の人種問題に対する意見が垣間見られることを期待します。

 

”おっさん”なマトバが銃やら近接戦闘やらで活躍するシーンはまさにハードボイルドです! 美少女キャラばかりのライトノベルも面白いですが、こんなジャンルも是非、如何でしょうか?