本えいが遅報

本と映画の感想ブログ

第010感 園池公毅 著 『光合成とはなにか』・・・植物のふしぎ!

光合成は小学校の生活科の時間や理科の時間でだけ習うものだと思っている方も多いのではないでしょうか。中学校の理科では、「水と二酸化炭素と太陽光で光合成が起こります」とだけ教えられ、その詳しいメカニズムはほとんど教えられませんでした。私も高校3年の時に選択授業で詳しく習ったことがありますが、あまりピンとくるものがありませんでした。

 

本書では、小学校や中学校では教えられない光合成の仕組みを図解で説明しています。大学教養レベルの話も出てきますが、詳しい記述で分かりやすく書いてあります。各小題は、

  • エネルギーの源
  • 光合成の始まり
  • 光を集める
  • エネルギー変換
  • 二酸化炭素の固定
  • 水と光合成産物の輸送
  • 光合成の効率と速度
  • 植物の環境応答
  • 光合成の研究
  • 光合成とはなにか
  • 光合成と地球環境

です。

 

ここで、本書の帯に書かれている文章を引用しますと、「小学校の理科の時間に誰もが習う『光合成』は、タンパク質やDNA・RNAといった分子レベルの生物学だけではなく、量子力学という物理学や、酸化還元といった化学など、実は大変広い学問分野の研究が必要な、一筋縄ではいかない植物の生き方です。光のエネルギーで生きるために、葉緑体の中ではどのようなことが行われているのでしょうか? それは、われわれ動物とは全く異なっているのでしょうか?」とあります。確かに、本書をパラパラとめくっていくと難しい化学反応の図が出てきますが、まえがきによると、難しいところは読み飛ばしても構わないとのことです。

 

特に面白いと思ったところが、第九章の「光合成の研究」です。今までの光合成研究の歴史と、最新の光合成研究が書かれています。この中でオススメなのが人工光合成の記事です。

 

200ページと少しの内容ですが、とても濃いです。さすがはブルーバックスといったところでしょうか。第一線で研究されている方の本がお手軽に読めるのはうれしいです。