本えいが遅報

本と映画の感想ブログ

第017感 岡田磨里 著 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(上)』・・・夏の獣<ノケモノ>

本書は、2011年にフジテレビの「ノイタミナ」枠で放送されていた『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』というアニメのノベライズです。 上下巻で分かれていて、今回はその上巻です。

 

怖いものなしの「超平和バスターズ」のメンバー5人が、6人目の「仲間の死」をきっかけにバラバラになってしまい、そのリーダー、宿海仁太(じんたん)は高校生になって引きこもり。夏休みも終わりに近づいてきた頃、死んでしまった仲間、本間芽衣子めんま)がじんたんの前に現れます。そしてめんまは言います。

  • 「たぶん。お願いをかなえてほしい」
  • 「みんなじゃなきゃ叶えられないお願いな気がする!」

と。

 

そして再び、じんたんにしか見えないめんまのお願いを叶えるために「超平和バスターズ」が集まっていく・・・。という物語です。

 

文は基本的に三人称で、ときどき各々の人物による心情が一人称で描写されます。著者が原作アニメの脚本担当だからか、本書は単なるノベライズとはなっておらず、アニメでできなかったことを小説でやった、という感じになっています。

 

アニメと違う構成があり、じんたん以外のメンバーが、見えないめんまをどこまで信じているかが上巻の終わりまででアニメと変わっています。どのように変わったかは実際に読んでほしいところですが、アニメの時よりも人物の動きが理解しやすくはなったのではないかと思います。

 

ずっとめんまが好きだった進学校に進んでイケメンな松雪集(ユキアツ)。ゆきあつと一緒の高校に通う鶴見知利子(つるこ)。今では立派になった久川鉄道(ぽっぽ)。それぞれが過去、そして現在に抱える悩みが少しずつ明らかになっていきます。

 

ライトノベルとカテゴライズしましたが、表紙とはじめのキャラ紹介以外には絵がありません。とはいえ、私がアニメを一度、というか何度も視聴していたせいなのかどうかは断定しかねますが、描写不足で場面がわかりづらいなんてことはありませんでした。

 

もしアニメを先に見ていたのなら、EDテーマの『secret base ~君がくれたもの~』を聴きながら読んでみるのも良いのではないでしょうか。実際、私もヘッドホン装備で読みました。グッドです。