本えいが遅報

本と映画の感想ブログ

第021感 豊川一夏 著 『あの夏で待ってる2』・・・あの夏が待ってる

アニメ『あの夏で待ってる』のノベライズ2巻目で、本書で最終巻です。

 

 

展開としては沖縄編後半からラストまで。1巻目に続いて本書でもキャラクターの心の動きが繊細に描写されています。

沖縄編では小学校時代の友人である樹下佳織が主人公である海人と再会して、猛烈にアプローチします。アニメでは樹下の過去はあまり語られていないのですが、「インターミッション (佳織編)」として沖縄に来るまでの樹下の心情が描かれます。

 

その後、イチカとみんなの関係を揺るがす事件が起こります。ここからが怒涛のラストスパートで、やはりアニメでは尺の問題で描ききれなかった、イチカと海人以外の仲間たちがどんどん動きます。

 

終盤には、今まで謎に包まれていた地球でのイチカの同級生、檸檬のインターミッションが挟まれます。字数としては多くありませんが、檸檬の考えていることやアニメではスルーされた「MIB」の正体がわかります。MIBが、あの略称だったとは・・・

 

 

本書はアニメを見た方が補完として読まれるのが良いのではないかと思います。アニメでは主人公組にスポットを当てるために、ほかの仲間たちの関係や心情に時間を取れなかった感があります。対して小説となった本書では、各イベントごとに各キャラの心の機微が描かれています。

 

 

デビュー作とは思えないほどよく考えられた文章で、豊川一夏氏の今後が楽しみです。ラノベでなくても著者の作品が出たら読みたいです。

 

私は柑菜推しなので哲郎と結ばれる展開を望んでいたのですが、美桜と一緒になるとは。「あの夏で余ってる」が実現してしまうなんて・・・。