本えいが遅報

本と映画の感想ブログ

第023感 猪飼篤 著 『基礎の生化学』・・・大学1,2年生レベルを独学で!

今回は真面目に生化学の勉強をしてみました。生物学を化学の視点から研究するのが生化学です。

 

 

他の本を読みながら本書を読んでいたのですが、通読するのに1ヶ月以上かかってしまいました。自分である程度分かっている章はサクサク読み進められるのですが、少しでも混み入った内容になるとスピードが落ちてしまいます。

 

本書は題名通りに生化学の基礎を一通り網羅しています。

章立てとして、

  1. 生化学を始めよう
  2. 生体物質の化学
  3. 働くタンパク質、酵素
  4. 生きるエネルギー
  5. 体をつくる
  6. 人の体
  7. 生体内の情報伝達と生体防御
  8. 遺伝情報の発現

と構成されており、所々にコラムと称して「新しいアミノ酸」や「新しいビタミン」などの、読者が興味を持って読むことができるような内容を載せています。本書の読者層というのは本書中の筆者の言葉によると、大学の初年度生または会社で生化学を勉強することの必要に迫られた人たちとのことです。確かに、前述のコラム以外にも理解を助けるための工夫が多くみられました。新しく登場した化合物の構造式はどんどん図になっていましたし、面白い猫の絵で立体異性を表現してありました。

 

 

とはいえ、扱っている内容は難しいです。コレステロールの項は、その合成で多くの過程を経るので様々な化合物が紹介されています。ここは著者が確実に覚えてほしいと思った箇所だから詳述されているのでしょう。コレステロールは人間が年を重ねていくうえでどんどん気になっていくものですし、人間にとって重要な化合物が生化学という分野で重要視されるというのは本書でも述べられていることです。

 

 

このような入門書ですが、1度の通読で本棚の糧にしてしまうのはもったいないというものです。1回目で生化学の基礎を把握して、2回目以降でそれらを自分の知識として定着させるのが存分に本書を味わう方法だと思っています。

小説と違い、参考書や専門書は高額であることが多いので、払った代金の分以上に本を自分の血とさせ肉とさせる工夫・努力が購入者である我々にも必要です。