本えいが遅報

本と映画の感想ブログ

第024感 川原礫 著 『ソードアート・オンライン1 アインクラッド』・・・10000人のデスゲーム

 本書は2012年07月から放送されているTVアニメソードアート・オンライン』の原作です。原作といっても、著者の運営するサイト(Word Gear)で公開されていたウェブノベルがさらにその原作となっているのですが。

 

 

 

この物語は電脳世界に閉じ込められた10000人が100層ものダンジョンを攻略していく、命がけのゲームを描いたものです。「ソードアート・オンライン(SAO)」というこのゲームではプレイヤーのHPがゼロになると、それは現実世界での死も意味します。ふつうのRPGならば、たとえゲームオーバーになってもスタート画面に戻るかさもなければ、「おお勇者よ、死んでしまうとは情けない」なんてセリフを王様に言われて復活のいずれかがほとんどだと思いますが、本書の設定ではそれができません。

 

このような極限状態でラストダンジョンを目指して攻略を進めていくのですが、10000人の全員が攻略を行うことができるということではありません。現実では小学校に通っていた少年少女たちや、目の前に迫った死を直視できずにSAOを構築する巨大城「アインクラッド」から飛び降りる者たちが多く、100層を目指してレベル上げに臨む「攻略組」はごくわずかになってしまいました。

 

 

私は本作アニメの第1話を観て「あぁ、すごい」と感じて、その小説を買おうと思い立ったのですが、書店に行っても無く、Amazonに行っても無く、という売り切れ状況がかなり続いていました。放送開始から1ヶ月以上経ってやっと、一般書店にも在庫が並ぶようになり購入することができました。

アニメをみて本シリーズを買おうと思っている方は注意が必要です。アインクラッド編は2巻で終わりなのですが、SAOは1巻で本編が終了します。つまり、2巻目は1巻では語られなったキャラクターにスポットライトを当てた構成になっています。私は1,2巻を同時購入したので面食らうことはありませんでした。

 

 

読んでいて、こんなゲームが本当にあったら良いのにと夢想しました。自分の腕で剣を振って敵を倒す。自分の足で草原を駆け抜けてダンジョンを目指す。PSPで本作のゲームが発売されるそうですが、主人公のキリトを操作するのは少し残念です。作中に登場した職人スキルのプレイヤーたちに憧れるところがあったので、鍛冶の熟練度を上げてプレイヤー相手に商売をしてみたかったです。

 

 

1巻で本編が終了するので展開が早いことは否めませんが、それが逆に本書のスピード感を醸し出しているのではないでしょうか。