本えいが遅報

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第029感 眞淳平 著 松井孝典 監修 『人類が生まれるための12の偶然』・・・宇宙ってすごいな

本書は、宇宙の誕生から人類の繁栄までの過程で起こった12の偶然を提案し、説明しています。

 

 

章立てとしては、

  1. この宇宙が誕生した不思議
  2. 生命を守り育てた太陽系
  3. 地球を変えた月
  4. 地球に起きたさまざまな偶然
  5. 不思議な液体「水」
  6. 地球の生命に起きたできごと
  7. 文明誕生を後押しした気候
  8. 人類が誕生した「偶然」について考える

となっており、1~7章で12の偶然が書かれています。

 

 

ここでは本書中の「偶然」についていくつか考えていきます。

 

偶然2 太陽の大きさが大きすぎなかったこと

太陽が現在の10倍以上の質量を持っていた場合、強力な紫外線を放出する太陽の影響で惑星のもととなるガスが吹き飛ばされてしまうのだそうです。さらに、巨大であればあるほど内部での燃焼が激しくなるので、太陽の寿命が短くなってしまいます。先ほどと同様に10倍の質量であった場合、その寿命は1億年にも満たないのです。地球が誕生してから5億年後に生物が発生したと考えられていることからもわかるように、太陽の大きさは本当に適度なものだったと言えるでしょう。

 

偶然7 二酸化炭素を必要に応じて減らす仕組みがあったこと

昨今の地球温暖化問題で言われているように、二酸化炭素には温室効果があります。太陽の熱によって暖められた地球は赤外線を放出して宇宙に熱を放出しようとしますが、二酸化炭素や水、メタンといった分子はその赤外線を吸収します。そのため、二酸化炭素が多すぎると地球全体の温度が上昇します。ここで地球には二酸化炭素を大気中から減らす仕組みが存在していました。まずは海の存在です。地球誕生から長らくはマグマに覆われた地球でしたが、冷えてくると雲ができて雨が降り、海が広がっていきました。水は化合物を吸収する能力に富んでいて、二酸化炭素もよく吸収します。吸収された二酸化炭素は海水中にやはり溶け込んでいるカルシウムなどの金属元素と結びついて海底に沈みます。さらに、プレートの存在が二酸化炭素の吸収に一役買っています。プレートがなぜ移動するかについて、いまだ詳しくは解明されていませんが、このプレートの移動によって効率よく二酸化炭素を吸収することができるようになったのです。

 

 

以上のように、宇宙と地球に起こった偶然を解説している本書ですが、難しい表現はほとんどなく、高校程度の科学知識で十分理解できる書き方がなされています。図や絵でのヒントが多くあり、恐竜の話題ではその絵を見るだけでも楽しめます。

 

 

200頁と少しの内容で、コンパクトにまとまっています。また、各章の最後に「12の偶然」が簡単なまとめ文と一緒に書かれているので、再読するときやカタカナばかりで読みつかれたときにはまとめだけを読んでも良いものです。

 

さらに、参考文献として70冊ほどの書籍が掲載されています。【宇宙】、【地球】や【水】といったように各分野ごとに分かれて載っているので、本書で面白いと思った分野をさらに読み込みたいと思った時には便利です。

 

難しい言葉にも簡単な解説がついていて、初学者にはもってこいな一冊です。