第030感 M.J.アドラー 著 『本を読む本』・・・70年以上読み継がれた読書術
本書はアメリカで1940年に刊行されてから、世界中で読まれてきた読書術についての解説書です。
構成は4部に分けられていて、
- 読書の意味
- 分析読書――読書の第三レベル
- 文学の読み方
- 読書の最終目標
となっています。
初級読書や点検読書、積極的読書などの実践的な読書法が、読者のレベル別に紹介されています。
本文を引用して、
"これは「本を読む人」のための本である。「これから本を読みたい人」のためのほんでもある。つまり、「読む」ことによって知識を得、理解を深め、優れた読書家になりたいと思う人のために書かれた本である。"(本書14頁)
と書いてある通り、本書は情報や知識を得る方法に「本」を利用している人のための本です。
私がブルーバックスや新書などの知識を習得するための本を読むときには、ついつい簡単に読める箇所をじっくり読んで、自分の知識が多いという感覚に浸ってしまいます。しかし、本書によると簡単な箇所は読み飛ばす勢いで読んで、よくわからないところは筆者が何を伝えたいか考えながら読むべきだということです。
また、「読書」は受け身な行為だと思われがちですが、これは大きな間違いです。キャッチボールに例えるとわかりやすく、投手が著者で、捕手が読者です。つまり、著者の投げた文章を読者がどれだけうまく受け止められるかが、優れた読者になれるかどうかにかかっています。
文中で頻繁に登場する単語の意味が著者と読者との間で齟齬が生じている場合には、本を理解することができません。すなわち、キーワードの難解な単語の意味を前後の文脈から推測して、両者間で単語の折り合いをつけることが重要です。同一単語でも意味が異なるものでは、それがどの意味に当てはまるのかを考えることが欠かせず、逆に著者が単語の意味を曖昧に考えていた時には理解することができないので、批評をするときに記します。
次に、批評をするための技術についてです。批評は私情に流されずにすることが大切です。この人物の考え方が自分とは合っていないときにも、冷静に分析して「この動機であの事件を起こすのは道理に合わない」ことを第三者に説明できないと、その本について批評をする資格がないのです。
最後に一読しての感想ですが、とても難しい、です。分からない本を読んで、その本が本当に読む価値のある本ならば何周しても新しい発見があると書いてあったので、本書もするめいかのように何度も読むことによって自分の血肉にしていきたいです。