本えいが遅報

本と映画の感想ブログ

第033感 綾辻行人 著 『時計館の殺人 上』・・・針のない時計塔と108個の時計館

本作品は、綾辻行人氏による『館シリーズ』の5作目です。700ページ超にも渡る長編のため、新装改訂版となるに際して 上下巻と分冊されました。

 

 

舞台となるのは題名通り時計館です。108個もの時計が動き続ける中で事件の起こる<旧館>と、その数年後に建てられた<新館>の2箇所で話が進んでいきます。

 

主な登場人物は、<新館>で調査を進める鹿谷門実と、<旧館>で『十角館の殺人』中で鹿谷と懇意になった江南孝明。<旧館>で某大学超常現象研究会の学生たちと共に3日間、時計館でうわさされる少女の亡霊を調査するうちに殺人事件が起こります。

 

 

 

5作目となるので、以前の『館シリーズ』と比較すると『十角館の殺人』に趣が似ているように感じます。外界から隔絶されたクローズドサークルが設定されていて、その内外でそれぞれの話が進行していくところが、『十角館』と同様に面白いです。

 

 

本書で気になるのが時刻の記述です。江南が<旧館>で体験する事件には時刻が描写されています。なにかこのあたりが怪しいと思うのですが、どのように普段と異なるのかがうまくまとめることができません。また、犯人の目星はこの時点でついています。気になる行動をしている人物がいて、動機も何もまだまだ分からないことが多いですが、その人を中心に読んでいけばとけるのではないかと思います。

 

 

とはいえ、まだまだ上巻なので情報が足りません。下巻で話が一段落した時に犯人と動機と犯行方法がわかるように考えていきます。