本えいが遅報

本と映画の感想ブログ

<映画感想> 『震える舌』

1980年に公開された日本映画で、破傷風に感染した少女の闘病生活と、その両親の苦悩を描いた三木卓原作の『震える舌』を映画化したホラーものです。

とても恐ろしかった

 あらすじ

近所の埋め立て地で遊んでいて指先を少し切ったことが原因で破傷風にかかった女の子は、ちょっとした刺激でけいれんを起こす。暗幕をかけた病室へ入るためにノックした音で体中がけいれんし、舌を噛み切って出血します。

昼夜関係なく見守っていなければならない状況に、両親は精神的におかしくなっていき、看病していくうちに破傷風菌に感染しているのではないかという疑心暗鬼に陥ります。

果たして、娘は破傷風を耐え抜くのか。両親は看病しきれるのか。

 

感想

最初から最後まで観ていてつらい映画でした。幼稚園に上がる前の少女が何日も何日も破傷風と戦う様子が淡々と描写されています。けいれんのせいで少女の身体が思いっきり後ろに反り、口を無理やり開けるために医者が乳歯を折り、手はベッドにつながれる。娘が管だらけになって病に侵されていくのを目の前で見ているしかない両親は、本当につらそうでした。

女の子の演技が素晴らしく、何度も目を逸らそうになりました。けいれんが起こるときの苦痛の表情は作品の質を押し上げた一因だと思います。

劇中のいたるところで流されるチェロの不協和音は、聞いている視聴者を不安にさせ、両親たちの感情を共感させるものになっていたと感じました。一貫して暗いシチュエーションで、最後まで気の抜けない作品でした。

 

破傷風菌こわい

 

あの頃映画 「震える舌」 [DVD]

あの頃映画 「震える舌」 [DVD]