本えいが遅報

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<映画感想> 『フォーン・ブース』

上映時間81分の比較的短い映画ですが、だからこそスピーディーな展開に目が離せない作品に仕上がっています。

また、撮影のほとんどがフォーン・ブース、つまり電話ボックスで行われているので場面展開に視聴者が戸惑うということもありませんでした。

 

 あらすじ

ニューヨークの街なかで携帯電話を駆使するスチュー(コリン・ファレン)は、練り上げたウソで役者を売り出すプロモーター。所帯持ちにも関わらず、妻のケリーには内緒で駆け出しの女優パムを下心から売り出すスチュー。通話履歴の残らないように電話ボックスからかけた、パムへの電話を切った途端になりだした公衆電話の受話器を取ると、謎の男からライフルで狙っていると脅され、そこからスチューの悲劇が始まります。

 

感想

主人公のスチューを人格描写するために彼が2ブロックだけ歩く最初の数分と、ラストシーン以外はすべて彼が電話ボックスの中に納まっていたことは、この作品の魅力のひとつです。

謎の男がゴロツキを射殺したのをスチューの仕業だと断定した警察は、彼を電話ボックスの中から出そうとしますが、そのやりとりが緊迫して面白い。男に脅されて命令されるがままになっているスチューも、なんとかして警察に自分は無実だと伝えようと奮闘します。

DVDに収録されている映像特典によると、本作は10日間だけで撮影を終わらせたとのこと。4台のカメラで同時に、時系列通りに撮影を行うことで可能になったらしいです。

 

吹き替えでは電話の男が大塚明夫さんでした。大塚さんの声が流れてくる洋画は、セガール然り、外れはないように思います。今作でも、冷徹にスチューへ命令を下す電話の男の残酷さが上手に声に表れていました。顔の見えない電話先に脅かされる主人公の恐怖を視聴者も感じることができるほどでした。

 

お手軽に観れるからと云って油断していると、ド肝を抜かれます!