第013感 河合秀和 著 『比較政治・入門』・・・8つの政治制度の成立
世界の政治制度を知り、その違いを比較することができることは、現代のグローバル社会において重要な知識なのではないでしょうか。
本書は、序章「新しい世紀の門口に立って」からはじまり、
- 比較政治とは何か
- 比較の枠組み
- イギリス
- アメリカ
- フランス
- ドイツ
- EU
- ソ連・ロシア
- 日本
- 中国
の10章からなっています。気になった文を引用しますと、「1つの国についてしか知っていない人は、実はその国についても知っていない」(本書19ページ)があります。われわれが最もよく知っている国は、やはり生まれ育った国でしょう。つまり、日本人なら日本のことをよく知っていると考えているわけですが、この考えを提唱したトクヴィルによると、日本だけを知っていても真に日本を理解するには足りない。とのことです。
個々の国については学校の世界史や日本史の授業で習うかと思いますが、本書では他にも、政治体制の分類の解説も行われています。その中で特に面白いと思った「民主主義のディレムマ」という項があります。
- 国家に望むことは限りなく多く、逆に財政は限られている。
- 国民は高福祉を望んでいるが、逆に増税は望んでいない。
これが現代民主主義の最大のディレムマである、という記述がとても心に残りました。日本の教養教育では、民主主義こそが理想の政治体制であるかのように教えられることがあるかと思います。少なくとも私は、民主主義に問題点があるとは教えられたことはありませんでした。本書ではこの問題が提起されていました。
政治の本をもっと読みたいところです。