本えいが遅報

本と映画の感想ブログ

第035感 桜坂洋 著 『All You Need Is Kill』・・・クソったれなこの世界

今回はアニメ化もされた『よくわかる現代魔法』シリーズの著者の新作ループモノです。ハリウッドがトム・クルーズを主役に映画化を決定しました。

 

 

初陣であっけなくギタイに殺されたキリヤ・ケイジは、その前日に目を覚ます。はじめて味わった死の恐怖を感じながらの二戦目でもあっけなく殺されて、彼はその前日に目を覚ます。謎の敵であるギタイとの戦いに勝利するために、マッチョな鬼軍曹からトレーニングを受けその翌日にギタイから殺され、実戦でギタイの動きを見極めようとしてギタイから殺され、そうして命を落とすたびにループする世界。このループから抜け出すために、そして、生き残るためにキリヤは戦う技術を高めていきます。

 

 

 

読んでみての感想として、「面白い。」ですね。

 

"ファック"だの"クソったれ"だのと、邦訳された海外小説で書かれる文句が多く出て、描写されている設定も相まって本当に海外小説を読んでいる気分になりました。

 

初陣から始まる物語なので、俺TUEEEEEェェ!! とはならずに敵に殺されます。確かに、ギタイの初弾がどこに向かって打たれるのかはわかっていますが、それからの展開はキリヤのカンと経験だけが頼りになります。たとえ筋トレをしても殺されてしまったら、その次に目蓋を開けた時には身体は元通り。だから、毎日のトレーニングは身に着けるジャケットを使いこなすことのみに費やす。

 

 

淡々と物語が進行していく感じが何とも切なく、キリヤの心理が研ぎ澄まされていくのがこちらにも伝わってきました。挿絵が各章の始めにしかないのも、その一員なのではないかと思います。ラノベらしくありません。

 

 

もう少しページ数が欲しいなって感じるほどの面白さで、でも、これ以上に冗長性が増すと話が間延びしてしまうのではないかというほどのバランスの良さ。

 

 

オススメですね!!

あと、技術屋でメガネでミツアミなシャスタがかわいい! この子の挿絵は増やしてほしかったな