第015感 西成活裕 著 『「渋滞」の先頭は何をしているのか?』・・・車間距離は40m以上でお願いします。
本書はズバリ、私たちが日々悩まされている渋滞ついて考える本です。
渋滞と聞いてパッと思いつくのが、ゴールデンウィークやお盆で体感することの多い道路の渋滞です。しかし、車以外にも渋滞は存在しています。人、インターネット、血液や在庫の流れにも渋滞が発生します。
著者が研究している「渋滞学」という学問は、渋滞の主体となるモノを決められたルールで動く「自己駆動粒子」と仮定することで、それがどのように動き、なぜ渋滞が起こり、どうすれば解消されるかを研究していく比較的新しい学問です。
各章立ては以下の通りで、
- 「渋滞学」へようこそ
- 「渋滞」の先頭は何をしているのか?
- 世の中は「渋滞」している
- 渋滞学が実現する快適社会
渋滞の発生するメカニズムが紹介されています。上り坂で発生する渋滞、料金所で発生する渋滞、合流地点で発生する渋滞などなど、高速道路での要因も数多くあります。ブレーキを使うことで後ろの車がさらに強くブレーキを使う。この繰り返しによっても渋滞が発生します。なので前方車両との車間距離が、著者の研究によると40m以上あると、前方車両がブレーキを踏んでも渋滞が発生する可能性は低くなります。
最前線で研究されている著者なので、最先端の研究結果が載っています。人間の渋滞だけでなく、肉食や草食動物の行進の様子が観察されていたり、お笑い芸人の爆笑問題さんとのお話を基に音楽やお笑いにも渋滞が存在するという考えがあったりしています。
渋滞「学」という言葉がつくことによって難しい印象を持っていましたが、本書ではわかりやすい例を多用することによって渋滞の仕組みがよくわかった気がします。要所要所で図やグラフが理解の補助をしてくれるので、さらにわかりやすかったのではないでしょうか。実社会でも使えるようなネタがありましたので、生活の無駄をなくすためにも本書を有効活用していきたいです。