本えいが遅報

本と映画の感想ブログ

読書感想

<読書> 畑村洋太郎・吉川良三 『勝つための経営』

アベノミクスの影響で賃上げが叫ばれる中、以前から本棚にあった本書を読んでみました。 スマホで目にする韓国企業のSAMSUNGと米国企業のAppleがリーマンショック以降の不況を最低限のダメージで乗り切った手法と、乗り切れなかった日本企業の違いをサムスン…

<新書> 福岡伸一 『生物と無生物のあいだ』

「読みはじめたら止まらない 極上の科学ミステリー 生命とは何か?」 帯に書かれたこんな文句に惹かれて本書を手に取りました。 いつ読もうかと思いながら今まで積んでいたのですが、STAP細胞で世間が騒いでいるのでこの機会にと読み進めていきました。

<小説感想> 長谷敏司 『メタルギア ソリッド スネークイーター 』

本書は小島プロダクションが制作しているゲームの『メタルギアソリッド』シリーズ第3弾をノベライズしたものです。 舞台は冷戦下のソ連。シャゴホットと呼ばれる核搭載型戦車を開発させられている技術者をアメリカ側に奪還する任務を負ったスネーク。帰路の…

第035感 桜坂洋 著 『All You Need Is Kill』・・・クソったれなこの世界

今回はアニメ化もされた『よくわかる現代魔法』シリーズの著者の新作ループモノです。ハリウッドがトム・クルーズを主役に映画化を決定しました。 初陣であっけなくギタイに殺されたキリヤ・ケイジは、その前日に目を覚ます。はじめて味わった死の恐怖を感じ…

第034感 綾辻行人 著 『時計館の殺人 下』・・・たっぷり読み応えのある作品

上下巻で分かれた『時計館の殺人』の下巻です。「第45回日本推理作家協会賞」を受賞した本作ですが、確かにこれは面白い。 犯行に使われたトリックで一番かなめのものが、種明かしをした後でさらに重要な要素になっていました。著者の良さは、単なるトリック…

第033感 綾辻行人 著 『時計館の殺人 上』・・・針のない時計塔と108個の時計館

本作品は、綾辻行人氏による『館シリーズ』の5作目です。700ページ超にも渡る長編のため、新装改訂版となるに際して 上下巻と分冊されました。 舞台となるのは題名通り時計館です。108個もの時計が動き続ける中で事件の起こる<旧館>と、その数年後に建てら…

第032感 高橋昌一郎 著 『理性の限界―不可能性・不確定性・不完全性』・・・意見の決定に最良のものは存在しない。

2012年11月01日現在で『知性の限界』、『感性の限界』とともに著されているのが本書『理性の限界』です。 章立てとして、 序 章:理性の限界とは何か 第一章:選択の限界 第二章:科学の限界 第三章:知識の限界 となっていて、さまざまな考えや社会的立場(…

第031感 綾辻行人 著 『人形館の殺人』・・・今までとは違う館

著者による『館』シリーズの4作目です。 今までのシリーズでは、孤島や山奥などの外界から隔絶された世界が舞台でしたが、今回は京都府内のとある館が舞台です。"緑影荘"と名付けられたこの館には、数多くの人形がいます。それらは主人公である飛龍想一の父…

第030感 M.J.アドラー 著 『本を読む本』・・・70年以上読み継がれた読書術

本書はアメリカで1940年に刊行されてから、世界中で読まれてきた読書術についての解説書です。 構成は4部に分けられていて、 読書の意味 分析読書――読書の第三レベル 文学の読み方 読書の最終目標 となっています。

第029感 眞淳平 著 松井孝典 監修 『人類が生まれるための12の偶然』・・・宇宙ってすごいな

本書は、宇宙の誕生から人類の繁栄までの過程で起こった12の偶然を提案し、説明しています。 章立てとしては、 この宇宙が誕生した不思議 生命を守り育てた太陽系 地球を変えた月 地球に起きたさまざまな偶然 不思議な液体「水」 地球の生命に起きたできごと…

第028感 竜騎士07 著 『竜騎士07インタビューズ 完全版』・・・愛がなければ視えない

本書は同人ゲーム『ひぐらしのなく頃に』や『うみねこのなく頃に』で有名な竜騎士07氏のインタビュー集です。350頁超にも及ぶ対談が収録されています。 8つの章に分けられていますが、はじめの第1章だけが『ひぐらし~』で、残りの7章が『うみねこ~』の話題…

第027感 伊藤計劃 著 『The Indifference Engine』・・・Project Itohはまだ、終わってない。

本書は、著者が早世して未完のままとなってしまった『屍者の帝国』が収録されています。 コンテンツは10個で、 女王陛下の所有物 The Indifference Engine Heavenscape フォックスの埋葬 セカイ、蛮族、ぼく。 A.T.D:Automatic Death ■ EPISODE:0 NO DISTANC…

第026感 外山滋比古 著 『思考の整理学』・・・知り方ではなく、考え方が学べる。

本書は、主に大学生から社会人を対象とした知識の利用法をまとめた本です。 1983年に刊行された本が基になっていますが、その内容は30年ほど経った現代でも覚えて損はないものになっています。

第025感 川原礫 著 『ソードアート・オンライン2 アインクラッド』・・・4人の生きた物語

『ソードアート・オンライン』シリーズ2作目の本書ですが、本編ストーリーの展開には関係ありません。SAOに閉じ込められた4人の少女たちが、主人公であるキリトと出会う物語です。 黒の剣士 心の温度 朝霧の少女 赤鼻のトナカイ という4つの章に分かれていま…

第024感 川原礫 著 『ソードアート・オンライン1 アインクラッド』・・・10000人のデスゲーム

本書は2012年07月から放送されているTVアニメ『ソードアート・オンライン』の原作です。原作といっても、著者の運営するサイト(Word Gear)で公開されていたウェブノベルがさらにその原作となっているのですが。

第023感 猪飼篤 著 『基礎の生化学』・・・大学1,2年生レベルを独学で!

今回は真面目に生化学の勉強をしてみました。生物学を化学の視点から研究するのが生化学です。 他の本を読みながら本書を読んでいたのですが、通読するのに1ヶ月以上かかってしまいました。自分である程度分かっている章はサクサク読み進められるのですが、…

第022感 綾辻行人 著 『迷路館の殺人』・・・私も迷路に迷い込みました。

著者による『館』シリーズも本書で三作目。 今回こそは探偵・島田潔よりもはやく犯人を見つけるぞ、という意気込みでページをめくった私ですが、本書帯にある <それでも読者は騙される!?> という文句そのままに、騙されてしまいました。 タイトルの通り、…

第021感 豊川一夏 著 『あの夏で待ってる2』・・・あの夏が待ってる

アニメ『あの夏で待ってる』のノベライズ2巻目で、本書で最終巻です。 展開としては沖縄編後半からラストまで。1巻目に続いて本書でもキャラクターの心の動きが繊細に描写されています。 沖縄編では小学校時代の友人である樹下佳織が主人公である海人と再会…

第020感 豊川一夏 著 『あの夏で待ってる1』・・・1度きりの、あの夏。

本書はアニメ『あの夏で待ってる』のノベライズで、著者である豊川一夏氏の処女作です。 テーマは王道のボーイミーツガール。そして、ヒロインの貴月イチカは宇宙人。頭の中にある「イメージ」を探して地球まで来て、高校3年生として小諸学園に転入します。1…

第019話 喜多喜久 著 『ラブ・ケミストリー』・・・全合成がしたくなーる

今回はSFでラノベでミステリーで有機化学で、そしてラブコメな『ラブ・ケミストリー』です。 主人公は有機化合物の構造式を見ただけで最適な合成ルートが頭に浮かぶという特殊能力を持つ、有機化学を専攻する東大院生の藤村桂一郎。有機化学の歴史を大きく動…

第018感 岡田磨里 著 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(下)』・・・いつまでだって、なかよしなんだ

実に1年間、発売まで待ちました。とっても長かった気がします。 上巻に引き続いて、下巻である本書が最終巻です。 本書ではアニメと異なる最後を迎えますが、どちらがのエンディングが良いかと訊かれても答えに詰まります。アニメでは勢いよく流れのままに…

第017感 岡田磨里 著 『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(上)』・・・夏の獣<ノケモノ>

本書は、2011年にフジテレビの「ノイタミナ」枠で放送されていた『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』というアニメのノベライズです。 上下巻で分かれていて、今回はその上巻です。 怖いものなしの「超平和バスターズ」のメンバー5人が、6人目の「…

第016感 綾辻行人 著 『水車館の殺人』・・・「館」シリーズ第二弾!

本書は、『十角館の殺人』に続く「館」シリーズの第二作目です。 舞台は嵐に襲われた館。三連水車の廻る動力で電力を得る孤立した環境。登場するのは、仮面をつけた水車館の当主、<塔の部屋>で孤独に暮らす美少女、執事と家政婦、水車館に飾られている絵画…

第015感 西成活裕 著 『「渋滞」の先頭は何をしているのか?』・・・車間距離は40m以上でお願いします。

本書はズバリ、私たちが日々悩まされている渋滞ついて考える本です。 渋滞と聞いてパッと思いつくのが、ゴールデンウィークやお盆で体感することの多い道路の渋滞です。しかし、車以外にも渋滞は存在しています。人、インターネット、血液や在庫の流れにも渋…

第014感 ヒロ前田 著 『TOEICテスト究極の模試600問』・・・3回分の模試でTOEICへ挑戦!

日本における英語教育の重要性が増していくにつれて、TOEICを昇進やクラス分けに利用する会社や学校が増えています。 TOEICとはリスニングセクションとリーディングセクションからなり、それぞれ5~495点で評価される英語のマークシート形式のテストのことで…

第013感 河合秀和 著 『比較政治・入門』・・・8つの政治制度の成立

世界の政治制度を知り、その違いを比較することができることは、現代のグローバル社会において重要な知識なのではないでしょうか。 本書は、序章「新しい世紀の門口に立って」からはじまり、 比較政治とは何か 比較の枠組み イギリス アメリカ フランス ドイ…

第012感 バンダイビジュアル 著 『TIGER & BUNNY KING OF WORKS』・・・ワイルドだろぉ~?

『TIGER & BUNNY』というサンライズ制作によるアニメ作品の設定資料集です。2011年4月から9月まで放送されていました。 近未来の都市を舞台に、特殊能力をもつ「NEXT」とよばれる人たちがヒーローとして活躍します。彼らは実在する企業―Amazonや牛角など―の…

第011感 養老孟司ら 著 『環境を知るとはどういうことか』・・・流域から考える

本書は、かの有名な養老孟司先生と、環境保全活動をされている岸由二先生の対談をまとめたものです。章立ては以下の通りで、 1、五月の小網代を歩く 2、小網代はこうして守られた 3、流域から考える 4、日本人の流域思考 5、流域思考が世界を救う 6、…

第010感 園池公毅 著 『光合成とはなにか』・・・植物のふしぎ!

光合成は小学校の生活科の時間や理科の時間でだけ習うものだと思っている方も多いのではないでしょうか。中学校の理科では、「水と二酸化炭素と太陽光で光合成が起こります」とだけ教えられ、その詳しいメカニズムはほとんど教えられませんでした。私も高校3…

第009感 賀東招二 著『コップクラフト3』・・・シリアスしてます

『コップクラフト』シリーズも、はや3巻目。シリアスが前面に押し出された内容です。本書表紙に載っているティラナの制服コスが示す通り、今回はティラナが高校生として潜入するおはなし。結末は挿絵を観てしまえば分かってしまうのですが、ネタバレしても…